アロアシャ学園が創立20年を迎えました。2015年5月3日に、アロアシャ学園において記念イベントが開催れ、約500人の関係者が集まってくれました。日本からは、代表の加藤と、アロアシャプロジェクトの前身のアロアシャの会事務局長の元山形大学農学部助教授の鈴木洋先生が出席しました。
以下、記念イベント時に代表の加藤のスピーチを記載します。

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ショボショカール(おはようございます。)

アロアシャ学園創立20周年記念おめでとうございます。私は、日本でアロアシャ活動を支援させて頂いている「アロアシャプロジェクトジャパン」代表の加藤清輝と申します。よろしくお願いします。

私はこの20年間、ほぼ毎年のようにここアロアシャ学園を訪問しています。今回で24回目の訪問になりますので、私の顔を覚えておられる方も何人かいらっしゃると思います。この20年間で私が変わったことといえば、年齢が20歳増えたことと体重が20kg増えたことぐらいで、このアロアシャ学園に対する思いや情熱は全く変わっておりません。

20年前、私は日本の山形県鶴岡市で山形大学農学部に留学している一人のバングラデシュ人の青年と出会いました。彼は一所懸命に博士論文を書いていましたが、ある日、不幸なことに雷でラップトップコンピュータが壊れてしまい、論文データが無くなってしまいました。私が彼と最初に出会ったのは、論文データが無くなり途方に暮れた彼の姿でした。当時私はコンピュータの知識が少しあったので、彼の論文データの再生のお手伝いをしました。一週間後、彼は無事博士論文を書き上げることができ、博士になりました。その彼こそ、いまここに臨席しているホサインモンジュール教授です。

私はモンジュール先生とすぐに親友になりました。そして、何人かの日本の仲間と一緒に、彼と多くの夢を語り合いました。その夢を語り合った仲間の1人に、今回私と一緒に日本から来た元山形大学農学部の鈴木洋先生がいます。

その夢の結晶が、この「アロアシャ学園」です。ですから、あの雷がなかったら、私とモンジュール先生は出会ってなかったかもしれません。そして、このアロアシャ学園もなかったかもしれません。私はこのことに、大変運命的なことを感じます。

モンジュール先生はいつも、バングラデシュ社会を豊かにしたいと言っておられました。社会を豊かにするには、いろいろな方法があると思います。それは、優れた政治家になることかもしれません。またビジネスマンになって大きな会社をいくつも作ることかもしれません。しかしながら、モンジュール先生は「教育」を通じてバングラデシュ社会を豊かにする道を選びました。私や日本の仲間は、その考え方に賛同しました。もしモンジュール先生が、政治家になることやビジネスマンになることを選択していたら、我々は何一つ支援できなかっただろうと思います。何よりも、アロアシャ学園は存在していませんでした。これにも運命的なことを感じます。

教育を通じてバングラデシュ社会を豊かにするには時間がかかります。私はよくモンジュール先生に次の日本のことわざを話しました。「10年の木で建てた家は10年で壊れる。100年の木で建てた家は100年たっても壊れない」。教育とはそういうものだと思います。

この20年間、アロアシャ学園を運営する上でいろいろなことがありました。決して楽なことばかりではありませんでした。多くの苦難もありました。しかしながら、そういった苦難を乗り越え、今日の20周年記念を迎えられたことに、私は深い感謝の気持でいっぱいです。

今まで多くに人たちの支えがありました。モンジュール先生を支えてくれたアノア先生、イスラム先生はじめアロアシャ理事会メンバーの皆様。ハント先生はじめアロアシャ学園の先生たち。アロアシャ学園を運営するために農業を始めとした多くの事業に携わってくれたセリムはじめアカフジスタッフ。それに陰ながらモンジュール先生を支えてくれた、ボナニ、ミドラ、ポルマの家族。モホシンアリ、あなたの頑固さがなければ私は途中で挫けていたかもしれません。マサミ、あなたがいなければアカフジは動かず、アロアシャ学園は持続しませんでした。
そして、アロアシャ学園を卒業した多くの卒業生や、今学園で学んでいる生徒たち。そしてその保護者の皆様。そして日本のメンバーと多くの支援者たち。
皆様の協力と連帯が、このアロアシャ学園を育ててくれました。本当にありがとうございました。そしておめでとうございます。

最後に、私から皆様にお願いがあります。
私や日本のアロアシャメンバーはいままで出来る限りの努力をしてアロアシャ学園やアカフジのために働きました。見ての通りアロアシャ校舎は4階建てになりました。それを支えるアカフジ施設も3階建てになりました。しかし大事なことは建物の大きさではなく、そこに宿る魂です。これら施設を利用しこれからどうアロアシャの活動を発展させていくかは、私や日本のメンバーが考える問題ではありません。今日お集まりの皆様が考える問題です。

アロアシャ理事会のメンバーにお願いです。学校運営は日本でも難しいことですが、これから30周年、50周年、100周年を迎えられるように切にお願いします。
アロアシャ学園の先生たちにお願いです。優秀な卒業生を送り出すだけでなく、私や日本の仲間、モンジュール先生が描いたバングラデシュ社会の発展に寄与する多くの卒業生を輩出できる私学の精神を築き上げていってください。
そして、生徒の皆さんにお願いです。何事も勇気と希望を持って、勉学に励んでください。そして保護者の方は、そういった子どもたちの未来を信じてください。
多くの卒業生の皆さんにお願いです。アロアシャ学園を卒業したという誇りを持って、何事も失敗を恐れず、挑戦と冒険の若い心を持って、これからの人生を切り開いていってください。
あなた達はアロアシャの宝物です。あなた達が大人になり社会の中枢で活躍する時、きっとバングラデシュは日本より豊かになっていることでしょう。その時においても我々日本人の良き友人でいてください。
そして、アカフジスタッフにお願いです。アロアシャスピリッツが永遠に続くように、経済的な支援を継続してお願いします。

私には大きな反省があります。私の努力が足りず、皆様と十分なコミュニケーションを取ることができませんでした。このことは、私のこれからの目標にしたいと思います。

以上、アロアシャ学園創立20週年を記念し、本日ご参会の皆様のご多幸をお祈りし、日本の支援者を代表してお祝いのスピーチとします。

ドンノバット(ありがとうございました。)

2015年5月3日
アロアシャ学園にて
アロアシャプロジェクトジャパン代表 加藤清輝